スカシユリ[ゆり科ユリ属]
 岩肌がむき出しになっているような、そんな場所が好きなようです。白浜町では、野島崎灯台の周囲や虚空蔵山の頂上付近に、数株ずつですが毎年咲きます。梅雨さなかの7月上旬、じめじめと鬱陶しい季節に咲くこの野草は、明るいオレンジ色が実に印象的です。

 写真は鴨川市太海の海岸、というよりも海の上の岩のわずかの土を頼りに生えています。その健気さに魅かれてこの十年来通っていますが、これはと思う写真が撮れたことがありません。

 30センチほどの草丈、艶やかな緑濃い葉の重なりは、観賞用に申し分ありませんし、実際に植栽品もありますが、やはり荒海の中に咲いている場所にこちらが足を運ぶところに、値打ちがあるように思います。

 名前の由来は、花びらの間が透けているからだそうで、あっけないほど当たり前の名付け方です。

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